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歴史

スピリッツ
なぜ精神という名で創造されたのか!?

和訳すれば”精神”という名のお酒「スピリッツ」。

そもそもお酒の世界では蒸溜酒のことを指しますが、簡単に表現すれば沸点の違いを利用し熱せられた醸造酒(発酵液)を気化、冷却し液化したもの。実は蒸溜酒はビールやワインよりも新しい酒となり、広く行き渡ったのは約11~12世紀頃と言われております。面白いのはビール状のものを蒸溜すればウイスキーに、ワイン状のものはブランデーとなる点です。
ではなぜスピリッツと呼ばれる様になったのか?
それは高温で熱してつくられたものがまるで炎から誕生したお酒といわれるようになり、人間の魂にはたらきかけ、肉体を目覚めさせ、また活力を与えるものとなっているからです。スピリッツが初めて歴史に登場するのは、今から3000年ほど前で。”蒸留器”の発明の2000年後に、スピリッツが作られるようになりました。

立役者はあのアレキサンダー大王!?

スピリッツが広まった貢献者はあのアレキサンダー大王と言われ、親交があったアリストテレスがブランデーを造ったこととアレキサンダー大王の世界制覇が重なったことが要因ともいわれています。
またアジア圏での中国では白酒(パイチュウ)はアラックの影響が強いといわれ、宋の時代(10~13世紀)には醸造酒よりも長期保存が効くことから超重宝されております。中には紀元前9世紀頃、米からつくる蒸溜酒があったとも伝えられており、これが本当だとすれば中国の蒸溜酒の歴史は相当古いということになります。

ヨーロッパでも広がりを見せる

一方、ヨーロッパでは中世になってから数々の蒸溜酒が誕生します。フランス、イタリア、スペインなどのブランデー、アイルランドやスコットランドのウイスキー、ロシアやポーランドのなどのウオツカ、北欧アクアヴィット、オランダのジュネヴァ(ジン)などさまざまな土地で入手可能な原料を使って独自の味わい深い蒸留酒が次々と誕生しました。

大航海時代には蒸溜技術がヨーロッパから海を渡り、カリブの島々や新大陸に伝播しラムが生まれ、その後メキシコであのテキーラが誕生しました。
私たち日本では14世紀に沖縄に蒸溜技術が伝わり、泡盛の製造がはじまる。その後、九州で焼酎がつくられようになりました。

特徴

ウォッカ、ジン、テキーラ、ラムの「4大スピリッツ」。
多くの人が一度は口にしたことがあるお酒と思われますが明確に説明できる人は少ないと思います。それでは早速それぞれの特徴を見ていきましょう。

「ウォッカ」

ウォッカは、大麦、小麦、トウモロコシなどの穀物、またはジャガイモなどのイモ類を主な原料に、発酵・蒸留させたのちに、白樺の木の炭でろ過させたお酒。
「無味無臭」と言われることがあるように、基本的にはクリアでニュートラルな味わいを特徴としています。
アルコール度数は40度前後が一般的ですが、スピリタスなどのように90度を超えるような銘柄もあります。

「ジン」

ジンは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどのいわゆる「ボタニカル」を数種加え風味づけされたお酒。
アルコール度数は40~50度前後が一般的となり、ジンは香り高いお酒で、ボタニカル特有の華やかな香りを特徴としており、基本的にはハーブ系の香りがメインです。
また、ジンはカクテルのベースとして広く使われており、ジントニックやマティーニなどの王道カクテルなどジンベースのカクテルは多種多様です。

「テキーラ」

テキーラは、定義上メキシコでのみ生産が許されるお酒で、多肉植物であるアガベを原料比の51%以上使用する必要があります。
アルコール度数は35~55度以内と定められており、ほとんどのテキーラは38度もしくは40度を採用しています。
アガベ特有の少し青っぽい甘みがありテキーラにもラム同様に透明なタイプと茶色く色づいたタイプがあり、茶色いタイプは主に樽で熟成されています。
その熟成期間によって名称が定められており、
・熟練なしのシルバー
・2ヶ月以上熟練のレボサド
・1年以上熟成のアホネ
などがあります。

「ラム」

ラムは、サトウキビの搾りかす=糖蜜を主な原料に、発酵・蒸留させたスピリッツ。
砂糖類の特有の甘い風味が現れるとされており、アルコール度数は40度前後が一般的ですが、151プルーフという75度にも及ぶラムもあります。
サトウキビの産地がラムの産地にもなっており、キューバやプエルト・リコ、ジャマイカなどが主な産地がなっています。
ラムは基本的に樽で熟成され、無色透明なタイプと茶色く色づいたタイプがありますが、透明なタイプは短期間熟成でろ過を行い、茶色いタイプは主に中~長期間樽熟成され色づいています。
またラムは、色や風味から3つのタイプに大別され、ホワイトラム・ゴールドラム・ダークラムがあります。

製法

スピリッツは世界的にウィスキーを含む蒸留酒全体を指しその4代スピリッツが「ウォッカ」「ジン」「テキーラ」「ラム」です。ではそれぞれの製造法を見ていきましょう。

「ウォッカ」

主にトウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦、ジャガイモなどの穀類と麦芽を原料に、糖化、発酵させて蒸溜し、活性炭処理やその他の物質で濾過。
濾過処理はスピリッツの刺激分を除去し、軽やかな芳香を生成する作用があります。世間では白樺炭濾過がよく知られていますが白樺の炭からの味わい成分(アルカリイオン)が溶け出し、それがさらにアルコールと水との結合を促進し、まろやかさを生み出しております。

「ジン」

ジンは一般的にドライジンを指します。
ドライジンは連続式蒸溜機で蒸溜したグレーンスピリッツに、杜松(ねず)の実(ジュニパー・ベリー)など多様なボタニカル(草根木皮)を加えて、ポットスチル(単式蒸溜器)でゆっくりと再蒸溜して精製されます。
*再蒸溜にはグレーンスピリッツに草根木皮を加えてポットスチルで蒸溜する方法と、ポットスチル内部の上部にジン・ヘッドと呼ばれる円筒(上下は金網)を取り付け、その中にボタニカルを詰めて、蒸溜によって立ちのぼるスピリッツ蒸気とともに香味成分を抽出する2つの方法があります。

「テキーラ」

原料の竜舌蘭の一種、アガベ・アスール・テキラーナは8~10年ほどで生育し、直径70~80cm、重さ30~40kgになった球茎を使用します。斧で割り、大きな蒸気釜(圧力釜)に入れて蒸すことで、デンプンを分解させて発酵性の糖分を抽出しローラーにかけて砕き、搾り、温水をかけ、残った糖分を十分搾り出し、発酵させ、単式蒸溜器で2回蒸溜したものがテキーラとなります。

「ラム」

ラムの原料はサトウキビです。
まずは、その堅い茎を絞ってジュースを抽出していきますが、サトウキビジュースはその全てが砂糖に変化する訳ではありません。結晶化して砂糖になる部分と、結晶化しない=砂糖にならない部分が同時に発生するのでこの砂糖にならない部分のことを、日本語で「糖蜜」と言います。全世界のラムの8割は、この糖蜜から造られこれを「トラディショナルラム」と言われます。

飲み方

「ウォッカ」

ウォッカをジンジャーエールで割って、レモンやライムなどの柑橘類を飾ったカクテルです。
クセの少ないウォッカは柑橘系との相性がピッタリなのでオススメです。

「ジン」

ジン最大の特徴は味ではなく香り。「飲む香水」と言われているほど香り豊かなお酒となります。
ベースのスピリッツに「ボタニカル」(ハーブやスパイスなど)を数種加えて風味づけをしているのが特徴となりますので個性的な香りを楽しみながら飲んでいただくとより楽しめます。

「テキーラ」

テキーラは、メキシコでのみ生産が許可され、ブルーアガベを原料比の51%以上使用するという規定があります。案外厳しい規制の中で造られています。そんなテキーラの味わいとしては、アガベの青っぽい独特な香りとまろやかな甘みを楽しむことができます。

「ラム」

お酒を楽しむうえで必ずあるのが「適温」です。
最も美味しく飲める温度はお酒毎に異なり、ラム酒にも当然あります。しかし、共通するルールが「香りを楽しむお酒は冷やさない」という点です。ラム酒においても、香りを楽しむヘビータイプのダークラム等は、常温の方の場合は香りが立つのでおすすめです。ウイスキーやブランデーを飲むイメージで飲んでいただければ、ラム酒の濃厚で豊かな香りが楽しめます。
逆に、軽い香りを楽しむライトタイプのホワイトラムを飲む際は、冷凍庫でキンキンに冷やした方が美味しく飲むことが出来ます。一概には言えないですが、熟成年数が長いラムを飲む際は、冷やさずに常温で飲むことをおすすめします。