歴史
ブランデー
ブランデヴァイン=焼いたワイン
13世紀:医師からの誕生
スペイン人の冶金技術者・アルノーは医師でもあり(13世紀のスペインで医者のアルノードビルヌーブ)、ワインを蒸留して気つけ薬として処方していたといわれます。
16世紀〜17世紀:フランスでさらなる進化を。
フランス・コニャック地方はワインをオランダに輸出していました。
輸送中に酸っぱくなってしまったワインを蒸溜したところ、おいしいと評判になり、オランダ語のブランデヴァイン(焼いたワイン)からブランデーとなったといわれています。ブランデーは糖分が少なく、酸味の強いぶどうからできる白ワインを蒸留して作られます。
19世紀:本格派熟成の始まり
この時期になるとロンドンの上流階級にもブランデーは浸透していきます。
ウィンストン・チャーチルはこんな言葉を残しています。
「私の父は荒野や寒々しい場所で狩りをする時以外は、ウィスキーをのまずブランデーソーダの時代に生きていたのだ」
この言葉でブランデーをどれほど愛していたのか伝わってきますね。
特徴
果実を原料としたフルーティーな香りと
華やかさをもつお酒
果実を原料として醸造、蒸溜した酒で、一般的にはブドウを原料としたものを指します。リンゴやサクランボなど色々な果実をベースとしたブランデーもあり、穀物を原料とするウイスキーなどと比べ、ブランデーは果実ならではのフルーティーな香り、華やかさが持ち味です。
蒸留方法の違いも、ブランデーの特徴の一つです。
アルマニャックは蒸留の際に半連続式蒸留機を使用し、じっくりと時間を掛けて1度だけ行います。
全てがアルマニャックとして製造されるわけではなく、製品の品質保証アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレによって認証されたものだけが、ブランデー・アルマニャックとして販売が許可されています。
一方、コニャックは、シャラント式の単式蒸留機を使用するのが特徴で、2段階の蒸留が行われるブランデーです。蒸留の際に直火を使用することも特徴で、不純物を完全に取り除くため3度の初留と1度の再留を行い、約24時間かけて製造します。
製法
果実のフルーティーさを
樽熟成によって芳醇な香りと風味へと変える
「果物を使用した蒸留酒」
その中でも最も多く使用されているのがブドウです。
ブドウを原料としたブランデーで最も有名なのは「コニャック」です。
コニャックはブランデーという大きなカテゴリの中の一部です。
ユニブランという白ぶどうはブランデー作りには素晴らしいぶどうとされています。酸味が強いため、醸造時に雑菌の繁殖が抑制され、芳醇な香味が醸成されます。酸の影響でアルコール発酵しにくくなりますが(7~8%程度)、蒸留もむずかしくなりますので、香味が濃縮されます。
アルコール度数を7割程度までにした後、樽で熟成します。数年から数十年の間、樽の中で貯蔵します。アルコール度数が下がり、香味と色が変化してまろやかなブランデーに変っていきます。
樽から出し、いろいろな樽をブレンドして瓶詰め・出荷されます。熟成させる期間によってブランデーのランクが変わります。カロリーはアルコール度数に応じて、高くなります。
*ただし、糖質は、ウイスキーと同じ蒸留酒ですからゼロです。
飲み方
ブランデーにも美味しい飲み方はさまざまあります。
今回はブランデーならではのオススメの飲み方をご紹介します。
ロック
ブランデーの飲み方はストレートが基本という見方もありますがそれ以外の飲み方でもまた違ったたのしみ方ができます。それがオンザロックです。
グラスに大きめの氷を入れて、その上からブランデーを注ぎ、グラスのなかでゆっくりと転がしながらたのしむ飲み方。冷たいお酒が好きだという人にはおすすめです。
オンザロックの魅力は、時間とともに変化する味わいを感じることができます。グラスに注いだ直後はストレートに近く、ブランデー本来の香りと味わいがダイレクトに味わえます。時間の経過とともに、少しずつ氷が溶け、ブランデーと混ざり合い、アルコール度数が低くなって飲みやすくなります。さらに、色合いの変化もたのしめます。そして何よも氷がグラスにあたる際の「カラン」と乾いた音。目と鼻と舌、そして耳もくわえて、まさに五感を駆使してたのしめる飲み方だといえるでしょう。
割り
水
氷の入ったグラスにブランデーと水あるいはソーダを適量注ぐ飲み方ですが、自分の好みで割合を変えて、最適な比率でたのしめるのが魅力です。
氷を入れずに、ブランデーと水を1対1で割る飲み方を「トワイスアップ」といいます。ウイスキーを飲む際は、このトワイスアップがもっとも味と香りを明確に感じられる飲み方といわれています。ブランデーの場合も、トワイスアップで飲めば、ストレートで飲むよりも香りが引き立つという声も。
トワイスアップを作るときの注意点は、常温のミネラルウォーターを使用すること。よく冷えた水は、ブランデーとなじむのに時間がかかってしまうからです。
お湯
ブランデーをお湯で割る「ホットブランデー」も、カラダが温まるうえに、華やかな香りが広がるのをたのしめます。
季節やその時々の気分にあわせて、さまざまな飲み方をたのしんでください。
ソーダ
ソーダ割りで飲むと、飲みやすさはもちろん、はじける炭酸がブランデーのおいしさを引き立たせるため、とてもおいしくいただけます。先に初心者向けといいましたが、かつてのヨーロッパでは王侯貴族や知識人のあいだでメジャーな飲み方だったとか。
高級酒の代表格、ブランデー。格式高いと思われがちですが、たのしみ方もいろいろ。難しくとらえず、自分に合った飲み方を探してみると、お酒の幅が広がり、たのしみも増えるのではないでしょうか。